「ビジョン2020」成就のための宋龍天総会長のメッセージ(前編)

 3月7日から3月14日までの8日間にわたり、全16地区を南北に分けて、北からは宋龍天・全国祝福家庭総連合会総会長が、南からは徳野英治会長が担当しながら、「ビジョン2020」勝利のための出発決断式が挙行された。その場で語られた宋龍天総会長のメッセージを以下に紹介する。

この記事は、『VISION 2020』第27号(2014年4月10日号)に掲載されたものです。

 昨年の年初に真の父母様が私たち統一家に「ビジョン 2020」を通じて「希望に満ちた未来を準備しなければならない」とのメッセージを伝えてくださいました。「ビジョン 2020」は、日本統一運動における「大旱慈雨」とも言えるものです。私が知る限りでは、去る 2011年に全国の食口を対象に実施した「食口幸福度アンケート調査」において「食口たちが最も重苦しく思っている点は何か」という質問に対し、圧倒的に一位を占めた返答が「今後の日本統一運動においてビジョンがない、あるいはそのビジョンが目に見えない現実」だったという驚くべきアンケート結果が出たということです。したがって皆が共感し、一緒に挑戦したいと思う共通の「ビジョン」を樹立して進むことが、日本統一運動において何より重要なことだと思います。

世の中で一番偉大な力「ビジョン」を明確に
 私たちが何を願い、何を成し遂げ、どのようになるべきかということを明確にすることが、すなわちビジョンを立てることです。目に見える目的地を確実に定めるのです。私たちがどこに向かうべきであり、現在私たちはどこに向かっているのかを正確に知らないとすれば、結局、私たちが願った所とは全く違う所に到着することになるでしょう。このことはすなわち、「ビジョン2020」をより具体的に設定しなければならないということを意味します。私たちがもし、何か欲しいものを手に入れようとすれば、それを心の中で正確に描くことができなければなりません。想像できないことは試みることができず、試みることができなければ決して成し遂げられないからです。このために必要なのが、私たちのビジョンを成すための設計図のような青写真です。建物を設計した人は、工事前でも建物の完成像を思い描くことができます。このようにビジョンの視覚化は、日本統一運動が未来において成功する姿を心の中で思い描くことで肯定的な自己暗示をかけ、その実現の可能性を高められるのです。

 ビジョンと目標が明確に立っている人と組織は、ちょうど昔、星の光を見ながら目的地に向けて航海する船のように、目的地に向かって黙々と進むことができます。生後19カ月にして視力、聴力、言葉を話す力を失って生きることになったのにも関わらず、私たちに今もなお大きな感動を与え、影響を及ぼしているヘレン・ケラーという人がいます。彼女を見て、多くの人々が可愛想に思いながら心配する一方で、むしろ彼女はそういう人々に、「前を見ることができない不幸よりも、もっと大きな不幸は、目はあるのに夢とビジョンがないことです」と語ったといいます。ヘレン・ケラーはこのような多くの障害を持ちながらも、世の中に対して決して恨んだり憤ったりすることなく、かえって心の中に大きいビジョンを抱いて生きたのです。

幸福な家庭、健康な教会、国家と世界に貢献する統一運動
 このように真の父母様の勝利圏を通じて、基元節と天一国実体時代を迎えるようになった日本統一運動が、実体天一国を建設するために2020年までに必ず成さなければならない具体的な姿、すなわち「ビジョン 2020」の青写真は、「幸福な家庭、健康な教会、国家と世界に貢献する統一運動」です。
 このような「ビジョン 2020」の青写真の根源は、神様のみ言、原理、すなわち神様の創造目的(創造理想)から見出すことができます。神様の創造目的は、この地上に真の父母理想を通して真の家庭を成すことであり、その拡大体としての理想世界を成し遂げることです。

 そして、これを実体的に成し遂げた方が、正に天地人真の父母様です。第一の創造主である神様の創造目的は、第二の創造主である真の父母が真の家庭を成し、完全一体を成すことにあります。これを通じて、初めて神様の直接主管圏の時代が開幕するのです。
 このような点から、基元節は天地人真の父母様の勝利圏を通じて神様の直接主管圏時代が開幕したことを意味し、同時に祝福中心家庭が神様の直系子女の立場に復帰されたことを意味します。したがって、天一国時代を迎えた祝福中心家庭の使命は、まず神様の真の愛を中心に二人が一つになる天一国を家庭で成し、氏族、民族、国家、世界、天宙に拡大させ、天一国を成し、究極の天一国、すなわち地上天国と天上天国の理想世界を成就することにあります。

 このために、祝福家庭はまず自分の家庭を理想家庭にして天一国家庭を築き、新氏族的メシヤの使命を完遂して、天一国の氏族を成していかなければならないのです。また、日本国民と人類を、祝福を通して天一国の民にしなければなりません。これが神様と真の父母様が私たち統一家に伝えてくださった勝利圏であり、伝統です。イエス様がこの地に来られた目的は、キリスト教を立てるためではなく、真の家庭を成すためであったということは、私たちが皆、知っている事実です。真の父母様が地上に残された最大の業績は、統一教会ではありません。それは真の家庭、さらには祝福中心家庭を残されたということです。過去の蕩減時代は、正にこれを残すための路程でした。

「家庭教会(ホームチャーチ)」を出発点に「新氏族的メシヤ」へ
 したがって厳密に言うと、天一国時代において「神霊と真理に満ちた教会」の出発点は、正に「家庭教会」であると見なすことができます。過去の蕩減時代の「教会」は、神様の仮りの住まいでした。第1の創造主である神様は、本来、完成したアダムとエバが真の父母の理想を成して第2の創造主になり、これと一体を成して真の家庭に永遠に共に住むことを願われました。それが正に、神様の創造目的と創造理想が成される出発点でもあります。しかし、人間始祖アダムとエバの堕落を通じて、神様は堕落したアダムとエバが築いた家庭には住むことができなくなり、悲しいことに、復帰摂理歴史を通じてメシヤを探していかなければならなかったのです。さらには、メシヤが真の父母になり、真の家庭理想を成就することを願われたのです。そして、全世界の祝福家庭と祝福家庭の伝統が残されることを願われました。

 歴史的に数多くの宗教が独身に固執し、出家文化を強調したのも、正にこのような理由からです。したがって神様の復帰摂理歴史は、真の父母を探し、真の家庭を成すことにあったということが分かります。ただし「教会」は、その理想が成し遂げられるまで神様が住まわれる「仮の住まい」と考えることができます。ちょうど借家に住まれるようなものです。メシヤが来られるまでは、まるでホームレスの生活をされた可哀想な神様を、教会という仮の住まいに迎えて生活していただいたのです。

 しかし、このような惨めな神様を、真の父母様が真の家庭理想を成して侍るようになったのです。したがって、すべての祝福中心家庭が真の父母様の勝利圏と伝統を相続し、理想家庭を成して神様に侍り、新氏族的メシヤの使命を完遂して氏族の中で神様に侍らなければならない時代が、正に天一国時代なのです。
 このような点を考えてみる時、過去の蕩減時代は教会が中心となりましたが、天一国時代は家庭教会が中心にならなければならない時代です。したがって、「ビジョン 2020」を達成するための主要戦略の一つが、「牧会者・食口共同牧会」です。これは、食口(特に祝福家庭)が単に教会の中心になって教育および伝道活動の中心になりなさいということではありません。まず自分の家庭を復帰し、理想家庭を築くことができる自己牧会、夫婦牧会、子女牧会、父母牧会ができなければならないということを意味します。 

 そして、新氏族的メシヤにならなければならないというのです。このような点で、「ビジョン2020」のうち、幸福な家庭、理想家庭を築くことは、真のお父様の遺業を成し遂げる道であり、天一国を成す出発点であるという事実を忘れてはなりません。それでは暫し、天一国についてもう少し調べてみることにしましょう。
 基元節を基点として始まった天一国実体時代は、天の摂理を結実させなければならない時代です。天の摂理の結実とは何でしょうか。それは正に、「天一国」です。では、天一国とは何でしょうか。天一国に関する真の父母様のみ言を調べてみると、天一国とは結局、神様の創造理想が完成した地上天国と天上天国を意味し、このために、統一原理のみ言どおり、人間が三大祝福を完成する段階、すなわち個人と家庭の天一国を経て、氏族、民族、国家次元の天一国、さらには世界と天宙次元の天一国に拡大されていくということが分かります。

後編につづく