東アジアの安保考えるフォーラム・晩餐会/ ファスラベント元国防相が来日講演

日本は平和・安定のため積極的貢献を

 中国による一方的な防空識別圏設定など、日本を取り巻く安全保障環境がいっそう緊迫の度を高める中、天宙平和連合(UPF)などの後援で東アジアの平和と繁栄について考えるフォーラムと晩餐会が17日、都内で開かれ、オーストリアのヴェルナー・ファスラベント元国防相が基調講演を行いました。

 ファスラベント氏は国防相在任中(1990年12月~2000年2月)、国内で国防省改革と国軍再編に取り組む一方、第1回欧州連合国防相会議(1998年)を主催するなど、オーストリアが欧州の安全保障政策に積極的に関与するようリーダシップを発揮。また、核開発問題で揺れるイランと太いパイプも持つなど、外交・安全保障のエキスパートとして、現在もなお世界中を飛びまっています。

 「東アジアの平和・繁栄・安全保障と日欧協力の展望」をテーマに開かれたフォーラムには、国会議員や大使館関係者、外交・安全保障の専門家など約100人が参加。
 講演に先立ちあいさつした林正寿・早稲田大学名誉教授は、「日本は、現実をないがしろにした“願望的思考法”に陥りがち。『非武装中立』『全方位外交』などがもてはやされたこともあるが、国際社会の現実を見るとそれらは選択対象にならない」と指摘。その上で、「オーストリアは、冷戦時代に鉄のカーテンのすぐ隣でとても厳しい状況を生き抜いてきた。その国で国防相を長く務めたファスラベント氏は、高い理想を抱きながらも、極めて現実的かつ柔軟な考え方を持つ人物です。激動する北東アジアにおいて日本が直面する深刻な問題に対処するための貴重なアドバイスを頂きたい」と述べました。

 ファスラベント氏は基調講演の中で、中国がアフリカや中南米などで戦略的に影響力拡大を図っていることを指摘しながら、「21世紀後半においてどの国が世界の覇権を握るか、今後10年くらいの間に大きな構造が決定していくだろう」と述べました。

 また同氏は、石油や天然ガスなどの天然資源が豊富に眠っていると思われる南シナ海でも、中国が強引に支配権の確立を狙っていると分析。「南シナ海を支配下におけば、東南アジア全域が直接の影響下におかれる。戦略的に見れば、この地域を誰が支配するかが、西太平洋の支配権、ひいては世界的な覇権にもつながる」と強調しました。野心的な中国の圧力に対抗するため、同氏は日本が韓国をはじめ、台湾や東南アジア諸国、オーストラリアなどとの連携をさらに深めていくべきだと指摘。第二次世界大戦後、東西冷戦を経て現在の欧州連合創設に至るまで、欧州諸国は相互協力と調和によって自由民主主義を堅持し、50年以上も平和の時代が続いていることを紹介した上で、「日本も近隣諸国の成長を支援していく姿勢を明確に打ち出し、実行していかなければならない」と述べ、東アジア・東南アジアの平和と安定のために日本が積極的に貢献すべきだと訴えました。

 一方、同氏は日本の人口が2050年には現在より3,000万人減少して約9,600万人になるとの予測に言及。「人口動態は国力を考える上で極めて重要な要素。日本は出生率を高めるためあらゆる努力をし、移民にも積極的に取り組んでいくべきだ。さもなければ、21世紀後半において日本は現在の社会を維持することが不可能になり、世界において指導力を発揮することができなくなるだろう」と警告しました。

 同日夜、首都圏の平和大使などを集めて開かれた「アジア新時代のための国際指導者晩餐会」では、宋龍天・UPF日本リージョン会長が歓迎の辞の中で、文鮮明師の説かれた神様の摂理観を中心とした人類文明史をひも解きながら、環太平洋文明の時代が到来したと説明。「米国と日本、韓国が中心となって(自由・民主主義などの)価値観を共有する国々を励まし、環太平洋圏を保護・防衛しなければならない。人類の未来は、日韓米の3カ国を中心とした環太平洋圏の平和の維持にかかっていると言っても過言ではない」と語りました。

 さらに、宋リージョン会長は「韓国も日本も中国の軍事的膨張と北朝鮮の核兵器開発を容認できない。中朝に効果的に対応するためには、日韓の緊密な協力が不可欠だ」と指摘。「日韓トンネル」プロジェクトに言及しながら、「日韓は安保戦略での連携のみならず、平和と繁栄のための合同プロジェクトで絆を深めるべき段階に来ている」と力説するとともに、日本が韓半島の南北統一のため最大限の努力を果たしてほしいと訴えました。

 また、徳野英治・UPF日本会長は祝辞で、中国による一方的な防空識別圏設定や北朝鮮国内の権力闘争を例に挙げながら、「戦後の日本で安全保障にこれほど関心が集まることはなかった。平和はタダでは保障されない。今ほど『自分の国は自分で守る』という意識が必要な時はない」と述べ、この時期にファスラベント氏を日本に迎えた意義を語りました。

 最後に、宋リージョン会長夫人の李海玉女史があいさつし、「ファスラベント博士のメッセージを通じて、私たちは一人では生き残れないことを再認識した。近隣諸国との友好関係を築くことが、平和と調和、繁栄をもたらす唯一の方法だ」と述べました。