「北東アジア平和イニシアチブ」ウラジオストック会議を開催

緊張のるつぼに、信頼と対話の一石を投じる

民間NGOだから可能
 世界中で平和活動をしている国連NGO団体、UPF(天宙平和連合、本部:ニューヨーク)は、数年前から「北東アジア平和イニシアチブ(NEAPI)」と銘打ち、専門家が東京、ソウル、ワシントンに集まって主に北朝鮮問題を協議してきました。その新たなステップとして、「北東アジアの平和と開発のロードマップ-韓半島の対立から対話へ」をテーマとする国際会議が5 月29 日から31 日まで、北朝鮮や中国の国境にも近いロシアの主要都市、ウラジオストック(人口約45万人)で開かれました。

 今回は日本、韓国、米国に加え、ロシアと中国からも専門家を迎え、「ロシア科学アカデミー」極東支部に属する極東民族歴史人類学民俗学研究所との共催で実現。また、韓国UPF 関係者約30 人と日本の在日コリアンなど5 人が、オブザーバー参加しました。

 現在の北東アジア情勢は困難に直面しています。北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる六か国協議(参加国は米、露、中、韓、北、日)は5 年以上も中断されたままで、その間、日韓・日中の政治・経済関係は非常に低調かつ険悪に。加えてウクライナ危機のあおりで、米露関係は冷戦後、最悪とも言えます。六か国どころか二か国の首脳が席を同じくできない状況に陥っているのです。

 そうした状況の中で、UPFが5 か国の代表をロシアに迎えて会議を開くことができるのは、民間NGOとして、国益や国家の威信・建前に伴う制約が少ないから。UPFインターナショナルのウォルシュ会長は、その辺の事情について、「NGO革命、人と人との交流による民間外交のメリットが認知され、インターネットや通信技術の発展が、こうした民間努力を力強く後押ししている」と説明しています。

異論も率直に語り合う
 開会セッションで基調講演をした極東民族歴史人類学民俗学研究所のラリン所長は、ウクライナ危機の後、「中露が新たな地域安保体制を共同でつくろうとしている」と説明。北朝鮮をめぐる六か国協議を早急に再開するよう訴えました。

 中国外交専門家によれば、米国は北朝鮮の体制崩壊を想定し、周辺国に北崩壊後のシナリオ策定を求めていました。しかし、「北朝鮮は宣伝するほど堅固でないが、崩壊直前というほど脆弱でもない」(同氏)のが実情といいます。ロシアの北朝鮮専門家は、南北統一はロシアにとっても利益となるが、「核武装したコリア」やコリアへの米軍展開、ロシアを念頭においたミサイル防衛システムの配備は絶対受け入れられない、と強調しました。

 ウラジオストックにある連邦極東大学の学者は、西側メディアが北朝鮮を悪魔視していると批判、バランスの取れた北朝鮮情報を広めるべきだと主張。また、ロシア科学アカデミーの東洋学教授は、北朝鮮が求めているのは体制保障であり、周辺国は様々な対話のチャンネルを開き柔軟な外交を行うべきだと呼びかけました。

 韓国の元ロシア大使を務めた外交官は、19 世紀末に似た北東アジア情勢だが、大きな違いは韓国が台頭していることで、「韓国は米中のバランス役を果たせる」と主張。UPF 韓国の尹晶老会長は、現代コリアが高度成長、「世界的強国」といった夢を実現した今、民族の残された夢は南北統一だと語りました。

 冷戦後の中国の台頭に関連し、韓国の外交官は、北東アジアの現状が第一次・第二次世界大戦直前の欧州に似てきたと指摘しながらも、「中国には全面戦争を打つほどの領土的野心はない」との見方を披露。一方、日本の政治家は、中国が領土・領海・領空問題で「挑発的な態度を取っている」ことに懸念を表明しました。

北東アジアの将来像は?
 北東アジアには、米国を含めると経済力で世界第一位から第三位までの米・中・日がいます。また国連安全保障理事会の5 常任理事国のうち3 か国(米・中・露)がおり、韓国から国連事務総長が輩出され、日本は同理事会非常任理事国の常連で、国連予算の負担額は依然上位です。要するに北東アジアは、世界の平和・安全・開発にとって決定的な能力や可能性を有する国々から構成されているのです。

 にもかかわらず、この地域全般の安全保障システムが存在しないことは深刻な問題だ――と日本のシンクタンク研究員は指摘しました。同氏は北東アジアの総合的未来図を作るべきだと訴え、海洋開発の国際協力・利益分配、電力の共同開発など8 項目を示して注目を浴びました。UPFユーラシアの鄭珍華会長は、欧州連合やアフリカ連合に匹敵する「北東アジア連合」こそ、この地域の将来像だと提案しました。

「開かれた対話」の推進
 会議中もウクライナの大統領選挙をめぐる混乱が、会場ホテルの大型テレビから連日報道されました。ウォルシュ会長はこうした国際関係の危機になればなるほど、すべての当事者を関与させて「開かれた対話」を進められるUPFの価値と役割が注目されると強調しました。

 統一運動の平和イニシアチブは、特定の国益やビジネス利益のためではなく、「神の下の一家族世界」という世界的ビジョン実現のために実践されてきたものです。現実に横たわる途方もない不信と憎悪の溝を埋めるため、嘘偽りない対話の効力を信じて、会合を積み重ねています。それは「天宙平和の王」文鮮明総裁のみ言と真の愛の価値を、国際政治の現実の中で証すことができるか、という試金石でもあるのです。