日韓両国民は「心のトンネル」掘っていく努力を

北東アジアの平和テーマに日韓議員・有識者懇談会

 日本をふくむ北東アジアでは、国家同士の利害や主張が錯綜し緊張が高まっています。日本、中国、韓国などは世界経済の重要な牽引役なので、この地域の平和と安定はアジアと世界にも決定的なインパクトを持っています。中でも、自由・民主主義など基本的な価値観を同じくする日韓両国が、各界各層で率直かつ建設的な対話を進めて、協力を深める必要があります。

 7月末、韓国の現職地方議員75人をはじめとする「平和大使」が多数来日したのを機に、日韓議員・有識者特別懇談会が7月31日、衆議院第一議員会館(東京千代田区)の会議場で開かれました。
 この会議を共催した天宙平和連合(UPF)と平和大使協議会によると、今回韓国から来日した地方議員の大半は、今年6月初めの統一地方選挙で当選した議員。UPF韓国は数年前から日韓リーダー同士の理解や友好を深めるプロジェクトとして、韓国国会・地方議会関係者の訪日セミナーを企画し、これまでに約500回、延べ4万人が参加しています。

 徳野英治・UPF日本会長は主催者あいさつの中で、日韓関係を発展させるため、中期的には両国で2018年(韓国・平昌)と2020年(日本・東京)に開催されるオリンピックを成功させるべく、互いに全面協力をするよう呼びかけました。これには02年のサッカー・ワールドカップ大会日韓共同開催という好例があります。当時も両国関係は芳しくありませんでしたが、共催成功をきっかけに日韓蜜月時代を迎えた経緯があります。

 一方、長期的なプロジェクトとして、徳野会長は「日韓海底トンネル」建設を強調。日韓トンネル構想は1981年、「科学の統一に関する国際会議」(韓国・ソウル)の席上で、UPF創設者の文鮮明総裁が「国際ハイウェイ構想」の一環として提案されたことを受けてスタートしました。
 トンネルの想定ルートにあたる長崎県や佐賀県の陸・海上部では各種調査が行われ、佐賀県唐津市や対馬では調査斜坑の掘削が行われてきました。これについて若手の国会議員は、日韓トンネル推進派の国会議員が着実に増えていると激励しました。

 今回の訪日団を率いてきた尹晶老(ユ ジョンノ)UPF韓国会長は、日韓関係の現状を念頭に置きながら、「平和を実現するには数多く出会うことで理解が促進され、愛する気持ちが湧いてくる」と語りました。

 一方、ロシアやイタリアなどの駐在大使を歴任した外交官の鄭泰翼(チャンテイク)氏は、自らが金大中大統領の外交安保首席秘書官を務めていた時に、同大統領が日本に国賓として招かれ、衆参両院総会で演説をしたことを紹介。同大統領は日韓の「心の外交」の好例として、江戸時代中期の儒学者で、対馬藩に仕えながら朝鮮語・中国語の能力を生かして朝鮮通信使を支援するなど、当時の日朝関係に大きな貢献をした雨森芳洲に触れる一方、「日韓トンネル」を示唆したと述べました。

 韓国外交協会会長でもある鄭氏は、最近の日韓の食い違いの一つの理由が、台頭著しい中国についての見方の相違にあることに注目。日韓は自由・民主主義の価値観を共有しており、その点は中国と異なることを強調しました。また「日本も韓国も発展し、世界に模範とするべきものが少なくなっている。我々が世界を主導していかなければならない」と両国に自覚を促しました。また、日韓トンネルを長年研究している日本の政治家は、想定される日韓トンネルの半径500キロ圏には約8000万人が住み、1000キロ圏には3億人という人口集中があり、これは英仏を結ぶ「ユーロトンネル」周辺より人口密度が高いと指摘。日韓トンネルには高い経済効果が期待できることを示唆しました。

 さらに、日韓トンネルは、経済的利益以上に両国民の総合的な幸福度を高める公共性の高い事業だと位置づけ、公的資金投入を可能にするためにも両国民の理解と協力、そして互いに「心のトンネル」を掘っていく努力が大事だと呼びかけました。

 またトンネル建設を進めるとともに、「日韓が闘わない国際関係を構築していくことも大事だ。その模範は欧州で、国境が要らない時代が近づいている。日韓トンネルを『幸福を呼ぶトンネル』、『平和を維持するトンネル』として取り組んでいきたい」との信念を披瀝しました。