夫婦で拉致監禁された被害者が民事提訴

事件再発を懸念

 

9men01夫婦で同時に拉致監禁・脱会強要された広島県在住の世界平和統一家庭連合の教会員が5 月16 日、事件に関わったキリスト教関係者や親族らを相手取って、損害賠償約700 万円を求める民事訴訟を広島地裁に起こしました。同日、原告代理人と教団関係者が記者会見を開き、明らかにしました。

2014 年7 月26 日、夫婦は広島市内でそれぞれの親族らによって別々に拉致された後、大阪市内の同じマンション5 階に連行されて監禁されました。

妻は、子供2 人(長女8 歳、長男3 歳=いずれも当時)を連れて広島市内の実家に帰省中、親族らよってタオルで口を塞がれ、両手両足を縛り上げられた上で寝袋に押し込まれるという極めて暴力的なやり方で拉致され、ワゴン車で大阪に運ばれました。夫も親族に騙されてワゴン車に乗せられ、大阪まで連行。夫婦は子供2 人から無理やり引き離されたのです。

夫婦が監禁されたマンションの玄関ドアは、特殊なチェーンと南京錠によって二重三重に厳重に施錠され、窓の開閉も自由にできない状態。そこにキリスト教神戸真教会(神戸市)の高澤守牧師や西日本福音ルーテル教会「青谷福音ルーテル教会」の尾島淳義執事が現れ、夫婦に脱会を迫りました。

監禁6 日目を迎えた31 日未明、妻が隙をみて親族の携帯電話で警察に通報。夫婦はおよそ10 分後に駆けつけた警察官らの手で解放されました。

夫婦は14 年11 月、事件を主導したとみられる高澤守牧師らを広島西警察署に刑事告訴。ところが、高澤牧師が翌15 年に自殺したこともあって、事件は不起訴処分となりました。

事件関係者らの法的責任が問われず、このままでは再び拉致監禁される恐れがあることから、夫婦はこの度、民事提訴に踏み切ったのです。

拉致監禁事件に関して、家庭連合(旧統一教会)信者が起こした民事裁判は19 件にのぼり、今回で20 件目となりました。

家庭連合信者に対する拉致監禁を手段とした脱会強要事件は1960 年代後半から始まり、これまで約4300人の信者が被害に遭ってきました。昨年9 月には、12年5 カ月にわたって監禁され脱会強要された後藤徹氏が最高裁で勝訴し、拉致監禁の悲惨な実態が広く社会に認識されました。

一方、12 年7 月には、国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)の自由権規約人権委員会が、日本で行われている「新宗教信者に対する拉致監禁強制的棄教活動」について懸念を表明。日本政府に対し、権利保障のために有効な手段を講ずべきであるとの勧告を行っています。