南米ブラジル佐々木孝一協会長が特別講話
4月1日、宮崎台研修センターで開催された全国責任者会議 において、ブラジルの佐々木孝一教会長による「ホームグループ・一対一・オイコス伝道」の講義が行われましたが、その内容は爆発的伝道に向けて大きな示唆に富むものでした。伝道教育局の篠崎幸郎伝道部長にレポートしてもらいました。
(この記事は、『VISION 2020』第28号〈4月25日号〉に掲載されました)
桜咲き誇る春を迎え、4月1日、宮崎台研修センターに南米ブ ラジルの佐々木孝一協会長を迎え、宋龍天・全国祝福家庭総連合会総会長夫妻、徳野英治会長夫妻を始め、各地区長、各教区 長、そして、全国よりすべての牧会者、責任者など総勢440人が一堂に会し、ブラジルにおいて伝道の結実をもたらし始めた「ホームグループ・一対一・オイコス伝道」の講義を受けました。
これは、基元節1周年に天正宮博物館において真の父母様の前で証しをされた内容であり、真のお母様より「このように全世界が頑張るように」とのみ言を語られたことに端を発します。日本においては3月、本部教会に南米コスタリカ特使である徐成鍾特使を迎え、本部職員と首都圏の責任者食口150人が「一対一訓読原理講義伝道」の啓蒙教育を受けましたが、その際、大きな反響を起こした基台の上で、今回の企画が実現しました。
この特別講義は、正に基元節1周年の勝利の土台と、天が明確な天法と母国の行くべき道を宣布された基台の上で、真の父母様が深刻に願われる全人類伝道の方策を真のお父様が霊界より準備された企画ではないかと感じるほどの驚くべき内容であり、参加者から大きな反響が寄せられました。この日、4月1日は、ちょうど一年前、真のお母様が来日され、「VISION 2020」勝利のために日本を祝福し、出発の祝祷をしてくださった日でもありました。
◆佐々木協会長の南米での歩み
佐々木孝一ブラジル教会長は、日本で学生時代に入教しました。大学卒業後はUTSで神学を学び、1996年に宣教師として南米ジャルジンに人事発令を受けて、今まで真の父母様の南米摂理と共に活動してきました。
2010年、ブラジルにおいて多くの試練があり、食口たちが大きな傷を受け、伝道の気運さえもない中から再出発したのが、この伝道方法でした。しかし最初から道が見えていたわけではありません。この方法は、多くのチャレンジ、失敗、試行錯誤、落胆…そのような中でも天に祈り求め、天と共に導き出されたものなのです。
食口たちの心を癒した「ホームグループ」
「教会の文化を変えることが重要」
佐々木協会長はまず、韓国で「ホームグループ」について学び、食口の心を癒すことに精誠を尽くしたといいます。試行錯誤を重ねるうち、食口の心も徐々に治癒されましたが、伝道をしてみようという気運が見えるまでに1年ほどかかりました。この間は、正に忍耐の期間でしたが、申東模大陸会長は確信を持って、見守ってくれたといいます。ホームグループは新しい食口の伝道の道ではありますが、何よりもそれ以上に、落胆していた食口の心に変化をもたらし、最初は批判的に見ていた食口も、ホームグループを通して復帰された初期の頃に感じた喜びの心情を取り戻すようになっていったのです。
ホームグループはある程度軌道に乗っていきましたが、爆発的伝道には何かが足りないと感じていたころ、天は南米コスタリカ特使である徐成鍾特使を送られたのです。徐成鍾特使は、20年前から真のお父様の「『原理講論』を使って伝道しなさい」のみ言を実践し、より効果のある伝道の在り方を工夫し、確立した方でした。佐々木協会長はその内容を相続し、「ホームグループ」に加え、「一対一伝道」を一体化させる方法にチャレンジしたのです。
多くの事例を検証し、工夫をして展開していく中でたくさんの証しが生まれていきました。正に『原理講論』の原理自体が持つ力、啓示以上の啓示であり、神様御自身、全霊界を動員して堕落した人間の心に変化を与える原理の力、これこそが本来、真の父母様が願われる伝道の本質であるという確信を得ることができたといいます。こうして、ブラジル全国において食口が「ホームグループ、一対一、オイコス」を中心とした活動に喜んで積極的に活動するという奇跡的な光景が実現していったのです。
佐々木協会長は、「文化が変われば大きく変わる。変わるまでが問題」と強調します。ホームグループの活動は、単に外的なシステムの導入によって成功したのではなく、“基礎工事”として過去10年以上の期間投入してきた信仰生活指導と、内部一体化の勝利基準を立てる努力の結果、軌道に乗り始めてきたというのです。また、佐々木教会長は、「ホームグループ」「一対一」「オイコス」の三つを一緒にやらないと、大きな爆発要因にはならないと強調します。
ここで、佐々木協会長の講義した「ホームグループ、一対一、オイコス」の内容のポイントをまとめてみたいと思います。
◆「ホームグループ」(訓読家庭教会)
ホームグループの活動をする目的は、第一に自分自身が天国人になることであり、そのために「週間目標」を立て、個性完成や夫婦一体、子女教育などの目標を達成すべく、公式路程を歩んでいこうということです。そして、み言の能力、祈祷、愛の実践を通して伝道に勝利し、氏族的メシヤを勝利していこうというものです。
私の言動が感化を与える「生活伝道」
社会生活圏と信仰生活圏を分けず
◆「一対一原理講論訓読」
徐成鍾コスタリカ特使が一対一原理訓読伝道を始めた動機は、真の父母様の指示事項である「『原理講論』を読みながら伝道しなさい」(1992.12.6)というみ言にあります。一般的な修練会による伝道のみでは、爆発的伝道を可能にする要素が少ないと考え、一対一講義を始めるに至ったということです。それは、一般の食口たちも比較的簡単に原理を教えられる方法であり、試行錯誤の工夫の上、一対二や、夫婦一緒にするのではなく、「一対一」の教育でなければ良い効果は得られないことが分かったと語られました。
方法としては、①伝道対象者がまず『原理講論』の赤い部分を読み、伝道者が青い部分を読みます。赤と青は、説明と補足または質問と答えの関係になっており、交互に読むことによって効果があります。さらに、必要に応じて黄色、白色と読み深めます。そして次に、②チャート12時間の絵を用いて、その人のレベルに合わせ、相手にとって効果的に進めます。それは途中で区切っても良いし、「明日までにここまで読んできなさい」と宿題を与えても良いといいます。ポイントは『原理講論』とチャート12時間を両方用いることですが、あくまでも新規対象者を復帰する際の主体は『原理講論』です。また、家庭内で親が子女に『原理講論』を一対一で読みながら直接教える伝統を立てていくのも良いと語られています。
◆「オイコス伝道」
「オイコス」とは、ギリシャ語で家に住んでいる人という意味です。日本で既に使われている言葉としては「因縁圏伝道」、もしくは「生活伝道」と訳すことができます。誰でも、日々の生活で関わっている人は100人くらいいると言われています。伝道の初期段階として、自らの生活圏内でために生き、信頼関係をつくって周囲の人々を愛と犠牲で自然屈伏させていくのです。何かを通して伝道するということは、「伝道の入口」を意味しますが、入り口があるということは、それ以外のスペースは壁になっているということです。一方、オイコスには「入り口」がありません。それは、壁がないからです。壁がないので、何かを見せる過程を通さずに、「私」を 直接見せることになります。自分の実生活を通してために生き、周囲の人々を感化していくのです。このように、社会生活圏と信仰生活圏を分けずに「生活伝道」を勝利していくことが、次の段階であるホームグループへの導入部分となります。これが、一対一と共に爆発的な伝道のための切り離すことのできない一つの要素になっています。
愛の投入を通し、尊敬される人間関係を
親がわが子を育てる「オイコス伝道」
また、何かを通して伝道しようとするシステムの概念を脱し、生活に使っている時間のすべてが伝道時間になるので「時間がなくて伝道ができない」という言い訳が通用しなくなります。自分の通っている会社で伝道することに葛藤を感じる人も少なくないとは思います。ですが、伝道しようと考えるのではなく、一人一人を無条件に愛して、尊敬される人間関係をつくり、それに喜びを感じる自分になることに焦点をおいて歩むのです。そして、そのような対象者をホームグループに導いていくのです。このように、オイコス伝道に勝利する伝統が立てば、360度に大きく開いた入り口が食口の数だけ生まれて、それが爆発のための一つの重要な要素となります。
さらに、ライン伝道は、意識の高い人を確実に復帰していくことができるという長所がある一方、各地域におけるラインの形成に限界があり、全国的な伝道の爆発につながりにくいという課題もあります。また、高度にシステム化された分担制の伝道方式では、動員、相談、講義、修練会、ケアなどの過程の一部を担うことにより、一般食口が常に受け持たない部分が生じるので、自分が受け持った部分の能力は成長しても、他の分野の能力が成長しづらいという傾向になりがちです。しかし、オイコス、ホームグループ、一対一を連結させて実践する伝道では、親が子を育てるように、霊の親の一人一人がほぼすべての過程を経験することにより、伝道能力を少しずつ向上させ、氏族的メシヤを勝利することができるように育てていく機会となります。
◆伝道の本質
これらの方法はお父様のみ言に一致しているものであり、本来の伝道の本質に一致するものです。信頼関係の構築こそが人間関係の出発であり、爆発的伝道の突破口となるでしょう。さらに、信頼関係を築くことが現課題克服の解決策となり、家庭においても夫伝道、子女教育の根本原理となります。そして、これは新氏族的メシヤ勝利に誘う道でもあります。
佐々木協会長は帰国前、最後に、これを展開するに先立って「ビジョンセミナー」を行う必要性を強調しました。南米においても、自分なりに展開したり、三つのうち一つだけ相続して実践しても、うまく行かない多くの事例がありました。
改めて、「ホームグループ・一対一・オイコス」の三つを一緒にやらないと、伝道の爆発は起こらないということです。何においても、大成するためには基本的な型をきっちり習得した人が、次の段階に入るものです。最初から自己流で大成する人はいません。そのため、本当に決心して相続しようとするなら、再度、2日間の「ビジョンセミナー」を受けて深く理解し、出発するのが近道であり、賢明でしょう。
このたびの真のお母様のハワイの恩恵から始まる4月1日、2日の天の役事。この日は、昨年、お母様がご来日された日であると共に、1941年に真のお父様が初めて日本に足を下ろされ、上京された歴史的1日です。このような恩恵深い日に、ブラジルの勝利の秘訣を相続し、日本において爆発的伝道を成すために出発していけることを願います。